スタートアップは総合格闘技、社長の仕事は複合的なもの

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日本でスタートアップすると大変なのは
・プロダクト
・ファイナンス・会計
・マーケティング
・リクルーティング
などなど社長はあらゆることをやっていかなければならない。

 

USのY Combinatorなど有力VCに投資を受ければそういうファンクションを一つ一つを部分的にもアウトソース出来るのだろうが、日本はそんなことはないと言う話をbitFlyer CEO加納さんが先日会ったときに言っていたのだけど。

まさに一つ一つのファンクションをもっと体系化して行きたいと思う。経験・ナレッジのある起業家がすごい増えて来たのでその素地も出てきている気がする。これはリソースをとにかく使ってやっていきたいポイントだ。

 

 

 

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IFRS(国際会計基準)導入により進む日本のM&A

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出典:International Financial Reporting Standards - Fareed Sheik LLP, CPA's

 

先日よりM&Aが加速している背景もあり、キャンバスCFOやトレタ監査役をされている加登住眞さん(@kt2m)に紹介頂いた ドメスティック企業がIFRSを適用して得る5つのメリット/M&A Onlineの記事がとてもIFRSについてわかりやすく掲載されていたので少し関連記事を読んでみたことも含めメモ代わりにまとめました。

 

IFRS(国際会計基準)とは

・IFRSとは、International Financial Reporting Standardsの略で、国際財務報告基準のこと。

・全世界がひとつの会計基準を持つならば、国際的な取引のなかで、相手企業の経営実態を容易に読み取れるようになります。国際会計基準とは、各国がそこに収束しようとしている会計基準で、現在各国はIFRSに収束しようとしている。

・EUでの導入が義務化されたのは2005年で、以来、世界中で導入が進んでいる。現在100以上の国や地域が、自国の会計基準またはそれに準ずる基準としている。

・一般に、IFRSは、グローバルなビジネス展開を行っており、全世界から幅広く資本を集める必要のある企業ならばともかく、日本企業の大多数を占めるドメスティック企業には適していないと評されることが多い。

・また、従来の日本基準に精通した経営者や会計実務担当者にとっては、なじみのないIFRSの適用は負担が重く、可能な限り避けたいと考えている。現在、金融庁は、IFRSの強制適用の是非などについては、未だその判断をすべき状況にない(当面、判断見送り)との方針を発表している。

日本の会計基準においては、純利益、つまり収益から費用を差し引いて算出した値に重きを置いています。一方、国際会計基準とされるIFRSでは純資産を重視しており、その値は資産から負債を差し引いて算出します。日本の会計基準とIFRSでは重要視するものが違うため、日本国内で広く適用するまでには時間がかかると思われる。

 

IFRS導入におけるメリット

①のれんの非償却

②信用リスク変動の純資産への反映

③減損損失の戻し入れ

④債務超過子会社の損失分担

⑤退職給付債務の数理計算上の差異の取り扱い

 

今回の大きなトピックとしたいのは①のれんの非償却 についてである。

 

日本基準では企業結合により取得したのれんは、その後の事業展開の成功、失敗にかかわらず償却しなければならないが、IFRSでは、のれんは償却せず毎期減損テストを行うとされており、企業結合後の事業展開が少なくとも減損を要しない程度に成功している限り費用処理する必要は生じない。これは、縮小する日本市場における生存戦略の上で特にM&Aの必要性が高いと考えられるドメスティック企業にとって大きなメリットであり、相対的にのれん償却費の負担が重くなりがちな小規模企業にとって相対的により大きなメリットとなり得る。

ということでのれんによる減損をIFRS基準の方が行わなくて済むとされるものになる。ではなぜM&Aをする多くの企業がIFRS対応を進めないかといえば、買収したのれんに限らず多くの項目に対して、毎期減損テストを行なうルールがシビアなため、管理部門の人材を拡充しなければ行けないからであるそうだという。

 

IFRS導入をしているインターネット企業まとめ

日本のIFRS導入企業は東証にて開示されています。日本には約3500社ほどの上場企業がありますが、IFRS適用済会社数 102社、IFRS適用決定会社数 19社、合計 121社がIFRSに対応済ないし対応予定となっています。

 

下記がインターネット系企業だけ選別した一覧です。三井物産や伊藤忠商社などインターネット分野へ投資を一定している企業があるので、総合商社を含めています。

 

IFRS導入インターネット企業(及びインターネット分野への投資実施企業)リスト

企業名/証券コード/業種/IFRS導入時期

住友商事 /8053/卸売業/2011年3月期

ディー・エヌ・エー/2432/サービス業/2013年3月期 第1四半期
SBIホールディングス/8473/証券、商品先物取引業/2013年3月期 第1四半期
双日/2768/卸売業/2013年3月期
丸紅 /8002/卸売業/2013年3月期
マネックスグループ/8698/証券、商品先物取引業/2013年3月期
ネクソン/3659/情報・通信業/2013年12月期 第1四半期
楽天/4755/サービス業/2013年12月期 第1四半期
ソフトバンク/9984/情報・通信業/2014年3月期 第1四半期
伊藤忠商事/8001/卸売業/2014年3月期
三井物産 /8031/卸売業/2014年3月期
三菱商事/8058/卸売業/2014年3月期
エムスリー/2413/サービス業/2015年3月期 第1四半期
ヤフー/4689/情報・通信業/2015年3月期 第1四半期
ファーストリテイリング/9983/小売業/2014年8月期
電通/4324/サービス業/2015年3月期
コナミ/9766/情報・通信業/2015年3月期
クックパッド/2193/サービス業/2015年12月期 第1四半期
ネクスト/2120/サービス業/2016年3月期 第1四半期
KDDI/9433/情報・通信業/2016年3月期 第1四半期
フュージョンパートナー/4845/情報・通信業/2016年6月期 第1四半期
セプテーニ・ホールディングス/4293/サービス業/2016年9月期 第1四半期
ホットリンク/3680/情報・通信業/2015年12月期
インフォテリア/3853/情報・通信業/2016年3月期
アイティメディア/2148/サービス業/2017年3月期 第1四半期
光通信/9435/情報・通信業/2017年3月期 第1四半期

 

ここ数年、ソフトバンク、楽天は海外M&A、DeNA、KDDI、クックパッド(※C)あたりは非常にM&Aに積極的だったと思われるところがありましたが、それはIFRS対応によるのれんの非償却に出来るメリットも大きいのかもしれません。ここに記載のある企業が国内でM&Aを盛んに行なうときが急にくるかもしれません。

※C:現在はグループ企業の売却が盛んに行われています。

出典まとめ

-ドメスティック企業がIFRSを適用して得る5つのメリット - M&A Online

https://maonline.jp/articles/ifrs0061

-国際会計基準の概要と導入のメリット・デメリット 

https://biz.moneyforward.com/blog/houjin-kaikei/international-accounting-standards/

-IFRS適用済・適用決定会社一覧 | 日本取引所グループ 

http://www.jpx.co.jp/listing/others/ifrs/index.html

 

独自の戦略で4年連続増収増益を達成するネスレ日本の事業戦略

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独自の戦略で4年連続増収増益を達成するネスレ日本の事業戦略

ネスレが好調であるらしく、その立役者となるのが日本法人の社長の高岡浩三さんという方のようだ。

news.line.me

 

以下記事を引用して紹介する。

すべての思考の原点は「顧客の問題解決」

人口減少を背景に国内の売上げは停滞し、低い利益率が常態化している食品業界。ほとんどの企業が苦戦を強いられている中、ネスレ日本は独自の戦略で4年連続増収増益を達成し、その勢いは留まるところを知らない。

同社の成長を牽引するのは、社長兼CEOである高岡浩三氏。優れたマーケティング手法で『キットカット』の大ヒットや『ネスカフェアンバサダー』といった新しいビジネスモデルを手がけてきた。

 

高岡氏は、その成功の秘訣を「本質的に物事を捉える思考力」にあると語る。 「人口減少で胃袋の数が減り、高齢化で一人あたりの消費サイズも小さくなっている。今や日本は、どんな食品企業にとっても、利益を上げるのが難しい国の1つです。それでも、ビジネスチャンスは存在します。そのチャンスを掴めるかどうかは、マーケティングを理解し、それをもとに目の前の課題をいかに考え抜くかにかかっています

 

総菜コーナーで見つけた新たなビジネスチャンス

「『なぜ、コーヒーが売れないのか』を考えたとき、その原因の1つが人口減少にあるのは明らかです。ただ、スーパーの総菜コーナーに行くと、常に活況を呈している。それは、人口は減っているのに世帯数が激増しているからです。

 

この30年間で合計世帯数は3,500万世帯から5,000万世帯以上へと増えているのですが、その大きな要因が、1人世帯、2人世帯の増加。だからこそ、少人数世帯にとって便利なサービスが伸びている。私は入社後の数年間、スーパーへの営業を担当していましたが、当時は総菜コーナー自体が少なかった。こうした生活スタイルの変化は、問題解決のヒントです。当然、コーヒーの飲み方も変わっているはずですから。

そこで『顧客は誰なのか』を問い直し、1人や2人で暮らしている人々が求めているものは何かと考えました。彼らの抱えている問題は何か。4~5人家族であれば、お湯を多めに沸かしてみんなが一度に飲めるインスタントコーヒーは便利ですが、1人暮らしの人が、1杯のコーヒーのためにわざわざお湯を沸かしたり、ドリップ式で1杯分だけ作るのは面倒です。

そこで、その問題を解決するために、ボタン1つで1杯ずつ淹れたての美味しいコーヒーが飲める『バリスタ』や『ドルチェ グスト』などのマシンが登場したわけです」

 

「新興国の市場では、顧客の問題を『モノ』で解決してきました。しかし、成熟した市場では便利なモノが世の中にあふれ、モノで顧客の問題を解決するのが難しくなる。そこで、ヒントになるのが、フィリップ・コトラー氏の提唱する『自己実現を目指すマーケティング』です。

ネスレでは今、コーヒーマシンを無料でオフィスに設置し、淹れたてのコーヒーを楽しんでもらう『ネスカフェアンバサダー』というサービスを展開しています。申し込みや代金回収をしてもらう『アンバサダー』を介し、オフィスで働く人には1杯約30円でおいしいコーヒーを飲んでもらい、我々はそのコーヒー代によって収益を得るビジネスですが、1つ、忘れてはいけない側面があります。これを導入したことで、オフィスの雰囲気が良くなったと、導入役のアンバサダーが社員に感謝されるケースが多いのです。

人間の心理には、人の役に立ちたいという欲求があります。この仕組みは、顧客や私たちだけでなく、アンバサダーにも心理的な利益をもたらしているわけです。アンバサダーの数は現在、25万人を超えています」

ただ、顧客自身が自己実現のために何を欲しているのかを把握しているとは限らない。

「高度経済成長期は、顧客が認識している問題を解決することで良しとされていました。今後は、顧客がまだ気づいていない問題を解決する『イノベーション』が必要です。『そうそう、こんな商品やサービスが欲しかった!』と言ってもらえるよう、顧客自身の潜在的な欲望を形にするマーケティングをしなければ生き残れません」
作業に追われていては考えは深められない

 

高岡氏は、2010年11月、代表取締役社長兼CEOに就任した際、スイス本社で居並ぶ役員たちにこう宣言した。

「私は日本で着実に売上げと利益を上げるモデルを作ってみせる。それがネスレジャパンの仕事だと考えています」

市場の縮小は先進国の宿命。ヨーロッパ諸国に先駆けて人口減少が進む日本で「先進国のマーケティングモデル」を作ることができれば、ネスレ本社にとってもバリューを提供できると考えたからだ。そのために高岡氏は、「根本的な発想の転換」が必要だと説く。

「たとえば、ボリュームを追うのをやめ、むしろ値段を上げながら価値をさらに上げていく視点で市場の変化を追ったことで、人口は減っているのに世帯数が激増していることに気づき、それを好機と捉えて新しいビジネスモデルを生み出せたのです。

 

そもそも日本は、20世紀型のビジネスモデルにとらわれがちです。高度成長期の日本は、毎年人口が100万人増える新興国でした。労働コストは安く、まじめに働く国民性。だからいい製品を安価で作り、外国勢に勝つことができた。しかし、状況が大きく変わった今、経済界がいまだに『モノづくり、コトづくり』を提唱しているのは、感覚がずれていると思います。それも、高度成長時代に勢いがあった日本が、バブル崩壊後に『なぜ』こうなってしまったかを誰も考えていないからでしょう」

では、本質を考え抜くには、どうすればいいか。高岡氏はいくつかのアドバイスをくれた。

「私が社会人になるときに『学生時代の勉強にはすべて解答例があるが、仕事には答えがない。だからこそ自分の頭で考え続けることを忘れるな』とアドバイスしてくれた人がいました。今は私も、社員にこの言葉を伝えています。要するに、上司に言われても、上司や先輩が上手くいった方法があっても、もっと上手くいく方法はないかと考え続けることが大事なのです。

また、問題を本質的に考えるためには、もっと考える時間を増やす必要があるでしょう。日本のビジネスパーソンは作業に追われすぎです。そして、与えられた課題を絶対に達成する強い意思があってこそ、深くまで考え抜けるのだと思います」

 

オーガニックグロースは先進国平均を上回るネスレ日本の2016年事業戦略

ネスレ日本2016年 事業戦略発表会の資料 がネットに上がっていますが、ネスレグループの世界売上11.1兆円、営業利益率15.1%で、後進国を含めたオーガニックグロースは4.2%に対して、日本のオーガニックグロースは4.6%と世界を上回っていると共に、先進国のオーガニックグロース1.9%に2倍以上付けていることに驚かされる。他の飲料メーカーではこのようにならないだろうと思うので驚異的な日本戦略がそこにある。

 

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参考記事まとめ

-ネスカフェアンバサダーを50万人に拡大へ ネスレ日本、2020年目標 | AdverTimes

https://www.advertimes.com/20140828/article168874/

 

-ネスレ日本社長兼CEO 高岡浩三日本法人の営業利益率は16%高収益支える商品ブランド力 ダイヤモンド・オンライン

http://diamond.jp/articles/-/17032

-ネスレが日本で起こした“奇跡” | 食品 | 東洋経済オンライン

http://toyokeizai.net/articles/-/13181

-10万人のファンが動いてくれたネスカフェのアンバサダー:日経ビジネスオンライン 

http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20131216/257086/?rt=nocnt