ぼくらの仮説が世界をつくる(コルク佐渡島庸平) を読みました

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 宇宙兄弟やバガボンド、ドラゴン桜などを講談社時代に編集者として担当し、出版エージェントのコルクを創業した佐渡島庸平の著書。

 

編集・出版の業界は本の販売チャネルである書店とのリレーションが強い出版社から出た本が売れると言う構造に日本ではなっているが、世界では編集エージェントと言う役割が大きな価値を産んでおり、コルクはそのエージェントとして事業をスタートしている。


編集者の特権と創り手の才能を世に広める仕事

編集者、テレビのディレクター、ファッションデザイナーなどは特権を持っていると言う。世間には存在しないデータを元に、作った人が才能があるかどうか、自分の感性だけで決断することができるため。そのくらい創り手と二人三脚で進める仕事であると言うことだと思う。

 

仮説を立てるには

日常生活の中で、なんとなく集まってくる情報、そして自分の中にある価値観が大切。トライアンドエラーが重要である。

 

×情報→仮説→実行→検証
○仮説→情報→検証→仮説の再構築→実行→検証

 

宇宙兄弟を広めた話

宇宙兄弟が売れる前は、読者アンケート分析によると男性が7割だった。しかし、当時売れている漫画は7割読者が女性だった。聖☆おにいさんは8割女性読者だった。背景は30-40代の男性は漫画は忙しくなり書店に足を運ばず漫画を読まなくなっていった。

立てた仮説として、女性読者が増えると宇宙兄弟はヒットすると言うこと。そのときにやったことは、20万円ほどの予算で美容院に宇宙兄弟を無料配布したこと。

 

考え方は下記

・美容室は椅子6つで、3回転、18人/人、月1000-2000人が2カ月に一度程度のサイクルでやってくることになる。

・ヒット前の作品は20-30万円ほどしか無い中でプロモーションをする必要がある。

・漫画を読ませるには第1巻を読んでもらい継続して買ってもらう必要がある。ある人がその後もファンになり20巻まで買うとすると1.2万円ほどの売上になる、それを獲得するのに500-1000円はかけてもよいだろうことになる。

・自分のやりたいことを決めて、それから情報を集める。情報を集めてからやりたいことを決めない。

 

とても良い本でした。スタートアップも仮説を作っては検証し続けるものだと思っており、スタートアップの経営者にはぜひ読んで欲しい本です。