何故あの会社はメディアで紹介されるのか? (ベクトルCEO 西江 肇司 著)を読みました

何故あの会社はメディアで紹介されるのか?

何故あの会社はメディアで紹介されるのか?―PR最強集団のTOPが教える55の法則

何故あの会社はメディアで紹介されるのか?―PR最強集団のTOPが教える55の法則

 

 先日ベクトル西江さんとランチをしてきたのですが、一番最初にベクトル西江さんとお会いしたのは著書をブログで書いて、とても良いインサイトを得たと言うことをFacebookのメッセージで送ってみたところ、時間を頂いた。そこから1年ほど経ってからですが Skyland Venturesファンドへもベクトルから出資を頂いた。この週末は、そのキッカケとなった「何故あの会社はメディアで紹介されるのか? 」を読み直していた。

 

西江さんと初めてお会いするときに書いたブログは、もう前のブログに書いた記事で、元記事は消えているのですが、下記に内容を少し追記しながら貼っておきます。

 

ベクトル流PR
ベクトルはPRの専業会社として大きく事業を展開し2012年3月に上場した会社である。だが、世間的にもスタートアップ界隈においてもPRと言う言葉はあまり馴染みの無い人も多い言葉かもしれない。

→2016年の今考えると2-3年でPRと言う言葉の重要性はとても広がったと言う感じがする。

 
米国ではPRが政治やベンチャー企業の活動においても盛んに議論される。PRが発達した経緯は第一世界大戦時、アメリカ政府は何百人ものジャーナリストやPRマンを起用し戦争の情報を集める一方で、敵国のドイツやオーストラリアなどのイメージダウンに繋がる情報を盛んに流した。 大衆に対しアメリカは崇高な理想の下で戦争していると浸透させた。このようなことを戦略的に実施した。

 

ベンチャーこそPRが重要

ベンチャーキャピタルの仕事を始めて3年超。多くのベンチャーを見てきたが、ベンチャーに大事なのは足元の売上・利益などの数字が上がっていることだけではない。

・ポテンシャルを感じさせる事業であるか
・事業が進んでいるかを客観的に見せることが出来るか
であると思っている。
 
自分が関わっている会社がそれらを全部出来ている訳ではない。しかし、そういう風に思ってもらえるように事業を進めて行きたいと常々思っている。後者に関してはPRという概念が密接に関わってくると思うし、採用や営業においても如何に応援者を作れるか?に対してトライする上では重要である。
 
 
ベクトルについて

・ベクトルは設立から5年後、PR事業を開始して以来、欧米流の最先端のPRを目指してきた。PRを企業活動の根幹に据え、クライアントの戦略的PRを提案・実行する攻めのPRを実施。
・ベクトルは西江社長が学生時代から起業していた会社であり、当初は全くこの事業に詳しく無かったが学生時代には年間100本のパーティのプロデュースしたり、学生向けツアーを企画する会社を起業していた。
・あるプロジェクトでは、外注のPR会社に依頼してみたものの結果が出ず、自分でメディアの人間にコミュニケーションをしたらすぐに露出出来た。メディアに知り合いがいなくとも意思決定権のある人間に会うことが重要であると感じ、PR事業を開始し主要事業へ転換。
 
PRが事業を拡大したケーススタディ


トリンプのケース
・時価2億円のミレニアムブラなどの商品をリリース。
・社内制度においても、仕事に集中し私語を厳禁にする『がんばるタイム』、部長などにもさん付けでコミュニケーションをする『さん付け運動』などを実施し、ビジネス誌にも取り上げられる。
 

オラクルのケース

・設立時より『打倒Microsoft』を意識し、打倒ビルゲイツネタをメディアが求めオラクルを取材するようになった。

・ラリー・エリソンCEOは、日本趣味を謳い、自宅の日本庭園をメディアに取り上げられるようなネタを仕込んでいた。

 
ヴァージングループのケース

・創業者のリチャードブランソン会長はパブリックスクール中退後、studentと言う雑誌を創刊し、経済停滞期のイギリスにて新規事業を立ち上げたときてイギリス中のマスコミから注目を集め、レコード販売を行い拡大。
・リチャードブランソン自身は反逆者、開拓者、挑戦者というキャラクターを設定しPRをしていた。

 

ドナルドトランプの例
・運営する不動産に自らの名を冠し、露出を図る。
・不動産ビジネスの場合、いち早く良い情報を持つ者が勝つ仕組みになっており、そこで優先交渉をして利益をあげる。トランプは自分の名前を売りビジネスでの成功につなげた。
 

西江流RRの原則

すぐにでも意識していきたいPRの大原則。

・ワンフレーズで勝負せよ。いかにメディアに紹介されるかを意識する。

・コンセプトからコンテクストへ。プロダクトを3-6のワンフレーズで表現する。
・ネタは意思決定権のある人にダイレクトに
・ネタに客観情報を付加せよ。市場が拡大していることなどをうまく考える。
・サムシングニューを打ち出す。「何が新しいの?」「既存の商品やサービスとどこが違うの?」にコメント出来るようになる。
・PRがPRを生む。良いメディアに乗ると連鎖する。
・重点媒体を戦略的に絞り彼らのニーズを掴め。
・メディア向けPRイベントを通じて人脈を広げる

・300のPR事例を覚えよ

・PRのタブーはウソをつくこと
・新ジャンルを提唱し、業界のリーダーとして自社サービスを売り込む\
 

本書では、300の優良なPRのケースから学べとある。営業もファイナンスも事例から学ぶしかない。300くらい良いケーススタディを知ることが出来ればその業界でノウハウを持っていると説明が付くように思う。PRの優良事例をおいかけて、より多くのチャンスを掴んでいきたい。
 
大きな会社の共通点はPRのノウハウやコツを持ち合わせていることにあるそうだ。初期の楽天やライブドアはこうしたPRにより事業を急拡大させた会社であり、グローバルで言えばヴァージン・グループやオラクルもまたそのような会社であったそうだ。