2015年の後半あたりに、新しく決断し実行したことで、とても良かったことがある。
それは追加投資である。
そして実際にSkyland VenturesのVCファンドから、2015年11-12月に10社ほど投資をさせて頂いてるが、この大半は投資先に対して追加投資の機会を頂き、実行させて頂いた。良い機会なので追加投資について書こうと思います。
僕のはじめてのベンチャーキャピタル(VC)投資
これは、実は追加投資だった。金額にして数百万円。大学卒業後に2年3カ月証券会社グループのVCに在籍していたのですが、その間に行ったことです。
この際に実際の投資の意思決定までの条件調整・審査・契約書締結・払込などの投資プロセスを始めて行った。
それまでも毎月数十社のスタートアップと会い、投資のニーズヒアリングから始まり何度も面談をしていたが、実際の投資プロセスを行ったのはVCの仕事を始めてから1年半くらいが経過してからだった。
金額の多寡に問わず実際に投資を行うフローと言うのは、投資検討をする行為とは全然別のものだと思ったところだ。
よくVCに投資検討を多数していると言う人がいるが、投資検討だけしている人がたくさんいるのかと今は明確に思うし、自分もVCをスタートして数年間は、投資検討をしてるだけだったと思う。最近は少し変わってきている。それもそのうちこのブログに書いて行きたい。
大手企業系追加投資プロセス
初めての投資のときにわかったことは大手企業系VCには追加投資が難しいことだ。新規投資よりも追加投資が難しい社内カルチャーがある場合もあれば、構造的な課題も含まれる。
端的に言えばスタートアップとVC側の期待値にギャップが生まれやすいからだ。
- クイックに決めてくれるかどうか
スタートアップは既に投資を受けていて情報開示をしていることがあり、ミニマムな審査フローで追加投資を決めて欲しいと考える。他方、VCは投資実行する・売却すると言うのは大きな判断なので審査プロセスが追加投資であっても重くなりやすい。むしろ追加投資の方が事業計画を引き直したり、当初の計画と見比べるなどプロセスが増える。
- なぜ追加投資が必要であるのかに対する考え方が違う
スタートアップは常に追加投資を求めている。事業は伸びていても、伸びなくても、資金ニーズは常にあるからだ。なので、原則として想定以上に資金は必要になる。他方VCは当初の計画とズレることを、嫌うので追加投資がそもそもなぜ必要なのか議論が必要になる。
- 数億円、数千万円、数百万円の稟議が同レベルの資料要求レベルのケースがある
不思議な話だが稟議プロセスが同じだったりして、比較的少額な投資は簡易化しているケースはあれど、社内ドキュメントや稟議形態が重い場合がある。スタートアップからみれば数百万円でも体制立て直しを望めることがあり、焦っているケースも多い。
- 投資担当者が引き継ぎの場合、検討すらほぼしない・真面目にやりにくい
VC業界はそもそも人が少ないし人の出入りが激しい。コンサルや投資銀行などとも少し似ていて、フィット感がないとすぐやめていく。なので投資担当が変わることは日常茶飯事である。(これは日本ならではと思うが。)どんな仕事でも引き継ぎでスタートした仕事はとてもやりにくいことがあり、なかなか話を前に進めにくいケースがある。
など、総じて、よほどKPI が伸びている、他の投資家からオファーがあるなどでないと難しいことが多い。単独の追加投資はしませんと言うスタンスのところもある。
ベンチャーキャピタリストを7年弱やっていて投資時に考えること
1番最初の投資が追加投資であり、数百万円でよかったと今は考えている。
VC業界の人にもこの最初の投資の話はほとんどしたことが無いが、今はこの投資のときに上記のような構造になりやすいということを考える機会を持つことが出来たし、ここについてはずっと考えて行かなければならないと考えている。
いま考えているのは、スタートアップに相談されたあとに、投資機会を考えるのはダメ。
目指したいのは、新規投資も追加投資も常に投資機会はあると考えてスタートアップと話し合うこと。
であるだろうと思っている。特に追加投資はこのように考えなくなりやすい。油断してしまうからだ。