学生起業するときに絶対読んで欲しい会社(法人)設立手続きのフロー

 

当記事は内容の厳密さよりも

・スピーディに法人設立をすること

・インターネットサービスのような初期コストのかからない事業を行うこと

・エンジェル・VCなどの投資家からの資金調達をする可能性がある会社であること

を前提にまとめたものとなります。読む際にはその前提でご覧ください。

 

起業前(法人設立登記前)

まず、『株式会社』をつくる

日本では、法人(株式会社・合同会社)・個人(事業主)の形で事業運営する形態がありますが

・会社をつくることで組織にする

・株式会社として投資家から資金を募る

という前提で『株式会社』をつくることにします。

 

また、会社を設立する手続きを法務局に(法人)登記するといいます。大学受験で例えれば、大学合格後に入学手続きを行うことは、法人登記することに似ています。

 

株式会社か合同会社か?

登録免許税(登記費用):株式会社の場合15万円、合同会社の場合 6万円

であることから、多くの本には合同会社の設立はコストは低いという話がありますが、株式会社は株式による資金調達が可能であることや、合同会社では銀行の融資審査が通りにくい・助成金審査も通りにくいなどの理由から株式会社をオススメします。合同会社でスタートし、株式会社に変更するという会社もたまにありますがその場合、再度新しく会社設立するくらい手間がかかります。

 

22-23万円前後用意して、1週間で登記する

会社をいざつくるときに用意しなければいけないものは下記のとおりです。

・社名:シンプルなドメインが取得できることやグーグルやTwitterで同じ名前が広く浸透していないものが良いでしょう。

・代表者:株式会社には取締役が1名以上必要となり、取締役の1名が代表取締役となります。代表取締役のことを一般に会社の長であることから社長と呼ぶことも多くなっています。

・本社住所:本社として登記する住所が必要です。個人住所もしくは最近ではコワーキングスペースも多数あるのでそちらに住所を借りると良いでしょう。

・印鑑:法人としての実印・銀行印・角印の3つがあると良いでしょう。 ハンコヤドットコムなどで発注すると2-3日で送付されます。

・登記にかかる費用 :資本金を例えば1万円とする場合でも、登記費用・定款認証費用・印鑑代などで22-23万円が実費として必要になります。こちらは大学の入学金に近いものだと考えてみてください。

 

登記手続きを初めての人が行うと2-3週間ほどかかることがありますが、1週間の短期でつくるには初日に社名を決めて、印鑑を発注することが必要です。

 

設立準備にかかるコスト

会社の銀行口座ができるまでの経費は会社負担にすることができます。個人のクレジットカードや現金での支払ったものをリスト化するなどして管理しておきましょう。

例えば

・会社の印鑑(代表印・銀行印など)

・名刺の作成

・PCなどの備品・消耗品

などの費用がこちらにあたります。 詳しくは下記にも記載があります。

会社設立時の費用は経費になるのか?

 

法人設立登記手続き

いざ法人設立登記手続きを行う

さて、実際に法人設立登記手続きを行うには法務局に登記申請を行う必要があります。

その際には

①自分で登記する

②行政書士に依頼する

③会社設立フリーを使う(オンラインで書類作成し登記手続き)

 

という3つがありますが、①の場合は、1週間で終わらせることは非常に困難であるため②か③がオススメです。Skyland Venturesに起業相談があった場合には行政書士に紹介するようにしていますが、行政書士の知り合いや知り合いを繋いでくれるくれる人が身近にいない場合は③会社設立フリーを使う (https://www.freee.co.jp/launch) と良いでしょう。

 

f:id:skylandvc:20170917220755p:plain

 

法人設立登記手続きのチェックポイント

会計設立フリーを使うと、

・電子定款を作成

・行政書士が電子認証

・出資金(資本金)の入金

・入金証明取得

・法務局への登記手続き

などのフローを整理した形でスムーズに完了することができます。

 

登記にかかり決める必要のある項目

会計設立フリーで入力する項目の一部を抜粋して下記にコメントを記載して行きます。

会計設立フリーを使わない場合でも下記のコメントは参考にして頂けるかと思います。

 

・会社の名称/商号 社名を変更すると銀行口座などもすべて変更する必要があり手続きが煩雑です、納得した社名にしましょう。

・会社の住所 本社とする住所となります。

・代表取締役出資者 新たに会社をつくる場合、通常は代表取締役=100%出資者(株主)であるケースが多くなっています。創業メンバーや投資家が初期から決まっている場合でも設立時点の出資者は1名にする方がスムーズです、その理由は出資者全員の印鑑証明が必要になってしまうためです。

・事業内容 法人は登記された事業内容以外を運営することができず、事業内容が変わる場合には変更手続きが必要です。例えばインターネットサービス事業者であれば下記のような内容を記載すると良いでしょう。

例:インターネットサービス運営事業 / 広告・宣伝に関する業務及び代理業務 / 前号に付帯関連する一切の事業

・資本金 / 一株の価額 資本金は昨今のように投資家が増えてきたので、1万円とすると良いでしょう。かつ、資本金1万円(1円×1万株)で設立しましょう。資本金が大きくても1万株以上の株数で設立しましょう。

・発行可能株式総数

・株式譲渡の承認者 代表取締役 or 株主総会 としましょう

・取締役会 通常、初期時点では設置しない

 

 このように書くと簡単に見えて、とても複雑そうですが、内容をすべてを細かく理解したい場合は行政書士の方に依頼する方法を取るか関連書籍を読み込み手続きをすると良いでしょう。

 

※未成年の起業の親権同意書

設立時の出資者もしくは取締役に未成年がいる場合、親権者同署が必要となります。詳しくは未成年者が発起人になる場合。同意書等の必要書類 | 株式会社の作り方に簡易的な雛形もあります。

 

登記簿謄本(登記簿)の受領

 これらの手続きを行い、法務局に登記書類を提出することで法人設立登記手続きは完了となります。そこから1週間ほどで登記完了となり登記簿謄本というものを得ることができ、正式に法人として受理されたことになります。登記簿謄本というのは大学で言う学生証のようなものです、ただし学生証と異なるのは登記簿謄本は社名がわかっていれば誰でもアクセスできる情報です。登記簿謄本を見たことが無い人はボクシル無料謄本取得サービス(BTSS)というサービスを使うと登記簿謄本を無料で閲覧することができます。

boxil.jp

 

登記簿取得後の各種届出

・税務署に届出をする(法人税関連)
・都道府県/市区町村に届出をする(法人地方税関連)
・社会保険に関して年金事務所に届出をする(社会保険関連)

 などというプロセスがありますが、こちらは法人登記を依頼した行政書士もしくは顧問税理士に相談すると書式を教えてくれます。これを自分で調べて提出するのはとても難しいので専門家に任せると良いでしょう。

詳しくはこちら:会社設立後に必ず届出しなければいけない書類とその作成法まとめ | inQup

 

法人設立によるデメリットはあるのか?

設立にかかる費用についての説明してきましたが、法人設立してリスクやデメリットがあるとしたらどういうケースかを記載します。ただし、これまでも会社設立を大学入学に例えて来ていますが大学入学時に4年間の大学生活を退学することを前提とする人がいないように、法人設立後に会社を解散するなどのことを考えるのは不毛であるとも言えるため今回は最低限知って置きたいリスクだけを紹介します。

 

・倒産するリスク

企業が倒産すると言うのは倒産(Wikipedia)にもある通り、債務の支払いが不可能な状態を指します。飲食店経営などと異なりインターネットサービスを運営する場合は初期コストを銀行から借入を行う必要は必ずしも無いので、払えないほどの大きな債務が出ることは無いため実質的に倒産するリスクは低くなっています。大きな債務を追う可能性があるものとしては銀行からの借入、オフィス賃貸契約などがあり、これらを起業初期に行う場合には事業計画と合わせての検討が必要となるでしょう。

 

・維持コストがかかるリスク

人は赤字であっても法人住民税7万円がかかります。もしこちらが払えない場合は休眠させることで回避可能です。ただし7万円の売上が稼げない場合を想定する必要はあまり無いでしょう。

 

法人設立登記手続き後 

銀行口座を開設する

会社をつくって以降、事業を行ったり投資を受けるには銀行口座を開設する必要があります。個人と同じようにメガバンクの窓口に行って設立申請を出すと、2週間ほど審査と開設手続きに時間がかかると言われ、その後審査が落ちたと言われるケースが多くありますが、銀行担当者の紹介を受けて手続きを行うと1週間以内に口座開設されます。

 

・メガバンク:三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行など

・ネットバンク:ジャパンネット銀行楽天銀行など

の口座をそれぞれ最低1個ずつつくると良いでしょう。

 

クレジットカード(デビットカード)

会社をつくって以降、PCやプリンターその他の物品・消耗品を購入するのにAmazonなどのオンラインサービスを使うのにはクレジットカードもしくはデビットカードが必要になります。こちらもそれぞれ用意すると良いでしょう。

 

・クレジットカード:楽天カード:アメリカン・エキスプレスなど年会費無料のものから有料のものまであります。

・デビットカード:上記の銀行の口座開設をする際にデビットカードがある場合は申請しておくと良いでしょう。

 

PCやプリンターなどの物品を購入する

会社設立後に物品を購入する場合、Amazonが便利です。年会費3900円でお急ぎ便・お届け日時指定便が無料になるAmazon Prime会員になるのがオススメです。法人でAmazonプライムの会員になっても良いですが、会社設立後にクレジットカードを作成するのにも時間がかかることもあり、個人でプライム会員になっておくと良いでしょう。ちなみに学生にはAmazonスチューデント会員があるようで、これを利用すれば半額でAmazonプライムを利用できます。

 

名刺をつくる

名刺の作成は、ラクスルが便利です。

raksul.com

 

 

WEBサイト・メールアドレスをつくる

・ WEBサイト・メールアドレスのドメインはムームードメインなどで取得しよう。メールアドレスもドメイン取得してそのままつくることができます。

・WEBサイトをつくる

ペライチSquarespace などのクラウドサービスを使えば数時間で作成することが可能です。ちなみにSkyland VenturesのWEBサイトはSquarespaceのテンプレートを使用して作成しています。

 

まとめ

法人設立手続きのフローをこの記事で紹介しました。

 

まとめてみて感じたことはこれ・・・。

 

ちなみに法人設立のこの煩雑な手続きを2016年10月の日経新聞起業申請、ネットで完結 「マイナンバー」活用 によれば、マイナンバーと紐付けて、会社設立申請をオンラインでスピーディに完結するという取り組みが発表されていますがそんなに便利なUIのサービスが提供されるとは思いにくいので、会社設立フリーをやっている会社に運営を任せた方が良いであろうに・・・と思っています。

 

こちらの記事は定期的に更新を行っていく予定です。最終更新日:2017年9月18日

  

この記事の反響

現役の学生起業家より。確かに学生起業であろうが社会人経験があろうが、自分で書類を書いて手続きすると2週間で終わらせるのも難しいことはまず間違いが無い・・・。

 

起業準備中の18歳おのたくより。

 

学生起業家から約4年経過のSCOUTER社長より。

 

参考にしたもの

会社設立の参考書籍 

ダンゼン得する 知りたいことがパッとわかる 会社設立のしかたがわかる本

オールカラー 一番わかる会社設立と運営のしかた

カラー版 マンガでわかる 会社の設立・運営

女子高生社長、経営を学ぶ(椎木里佳):法人設立登記の大変さがリアルに描かれています。

など。

 

記事にコメントやフィードバックを頂いた方

ありがとうございます。

・コロプラネクストらん(なかしま)(@lox_ran)

 

その他

関連したツイートなど

木下 慶彦 - 大学生の起業相談を受けてて、日本の法人設立手続きのプロセスって本当にわかりにくいなと。何がわかりにくい... | Facebook