「プログラミング経験半年であっても第一線で活躍するエンジニアを輩出したい」TECH::CAMP真子就有氏に聞くプログラミング学習の秘訣

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サービス開始から1年半で受講生3,500人を超えるTECH::CAMP は、未経験からサービスをつくることが出来る短期集中プログラミング学習プログラムを提供しています。

また、TECH::CAMPにてプログラミングを学んだ卒業生が、サービスのプロトタイプを作り、資金調達を完了させたスタートアップも産まれていたり、スタートアップのエンジニアとして働いている例も多数あります。それらをキッカケに、Skyland Venturesとの提携も2016年6月に発表しています。

今回はそんな同サービスを運営する株式会社div CEO 真子就有氏にTECH::CAMPのサービス秘話やその卒業生の実績について伺いました。

 

職人のような教えない文化に違和感を持ちプログラミング教育をスタート

-- まず始めにTECH::CAMPにはどんな人がいらっしゃっているんですか?

TECH::CAMPをスタートしてから1年半ほどが経ちますが、累計の受講生数は3,500人を超えていて、4割が学生、6割が社会人です。TECH::CAMPは、「未経験からサービスをつくることが出来る短期集中プログラミング学習」を標榜しているため受講生は自分でサービスを作りたいと思ってる人が多くいます。起業したい人・サービスを創りたい人が8割、エンジニアになりたい人が2割と言う感じで、基本のコースは1ヶ月間になっています。

TECH::CAMPをはじめた原体験実体験としてはTECH::CAMPを始める前にWebサービスを作っていたときに、インターン生が僕が1年半ぐらいかけた技術力を2カ月とかで身につけているのを間近で見たことです。

この圧倒的な学習効率を実現できたので本人の努力に加えて、小さな会社だったので僕が隣にいたことでした。自分が一番わかりやすいと思う本を渡してわからなかったらすぐ教えました。エラーが出たら、即疑問解決出来る。基本的にわからなくなることがなく、進めて行けたんです。

一方で、自分が学んできた課程は職人の修行のような道でした。基本は独学、すぐに聞くことができない環境。やっているときは夢中だったので気づきませんでしたが起業後、自分の10倍以上のスピードで技術力を身に着けたインターン生をみてそれがいかに非効率な学習だったのか気付かされました。

 

この気付きを得て非効率なプログラミング教育をもっとよくしたいと考えるようになります。先ほどいったようにプログラミングの世界は職人の世界に似ていて、人に聞かずに自分の力で身に付けろという文化があります。実際ギークなエンジニアの人たちは、みんな自己解決してスキルを付けているので同じことを未経験者に強いてしまうことも多い。その職人的な「すぐ聞けない」文化の中でエンジニアを育てることは非効率だと考えていました。そもそも、技術力が高いこととメンターとして教えることが上手いことはまったく違うスキルです。できるエンジニアの方はコードを書くことでバリューを出すべきで、未経験者に基礎文法を教えることに時間を使うべきではありません。

TECH::CAMPが提供すべきは、一読して理解できる教材と、わからないときにすぐ優秀なメンターに聞ける環境です。前提として何か新しいことを学ぶときは、どんなに話を聞いても、問題を自分で解かないとできるようにならない。なので、まずやるべきは動画やカリキュラムをいつまでもじっと眺めるのではなく理解できたらすぐ手を動かすこと。その上で、最高の学習効率を出すには、最初にインプットする教材にわかりにくい表現があってはいけません。これまで質問を受けるたびにTECH::MASTERと呼ばれるカリキュラムを何千回と改修してきました。基本ポリシーは「質問がでる教材に価値はない」です。カリキュラム改善には終わりはなく気が遠くなるような労力がかかりますが、日本一じゃないと意味が無いという思いで社内のカリキュラムチームが時間をかけて取組んできました。

また、どんなに素晴らしい教材でも勘違いや人的なミスで必ず詰まることがあります。その時に多くの人が「うーん、どうしよう」と手を止めて考えます。しかし、はっきりいって悩んでいる時間は無駄です。悩んでいる時間は何も新しい知識を吸収できていません。初心者はちょっとしたタイプミスで数時間から半日悩んでしまうこともあります。また、理解が出来ない場合は、1人で調べて延々と悩んでいることもある。そんなときは、分かる人にしっくりくる別の解説を聞いてすぐ次にいくべきです。そのためにTECH::CAMPは土日祝日問わず11時から23時までオンライン、オフラインで質問し放題の体制をつくりました。

 

エンジニアの必要性が高まっていく。卒業生からVCから資金調達を実施するスタートアップも輩出

-- TECH::CAMPをやっている中でのやりがいと、卒業生でどんな人がいるかを伺っても良いですか?

僕は、全ての産業がプログラムに置き換えられる時代が来ると思っています。世界初のブラウザを創ったマーク・アンドリーセンという人が「ソフトウェアが世界を飲み込む」と言ってました。その時代には、必ずしもみんながコードを書く仕事をしているかわからないですが、少なくとも全ての産業のベースとなっている以上、基礎教養として知っている。そういう時代になっていくと思います。

TECH::CAMPの卒業後の実績で最も目立っているのは、WealthNavi CEO柴山和久さんです。彼は資産運用のサービスを提供しているのですが、TECH::CAMPで作ったプロダクトを元に、受講直後にベンチャーキャピタル(VC)から5,000万円調達されました。

もともと財務省やマッキンゼーでリスクマネジメントをやられていた方で、金融分野には豊富な知識・ネットワークのある方でしたが、当時はプログラミングは全くの初心者でした。起業してマッキンゼーの日本支社長に相談に行くと、起業するなら絶対プログラミングをやれと言われたそうで、そこでプログラミングを一番効率よく学べそうかと探してTECH::CAMPに行き着いたのです。

 

WealthNavi CEO柴山和久さんについて詳しく知りたい方はこちら。

「マッキンゼーの支社長にもプログラミングをやるべきと言われた」 10兆円のリスクマネジメントを経験したFinTech起業家が非エンジニアから5週間で生み出したサービス 

 

他の卒業生ではSeekle CEO森川恵美さん@EmiM0918は、高校生のときにのTECH::CAMPを大阪で高校生のときに受講されて、自分でサービスを作り、慶應大学への進学をやめて起業準備されています。

   

学習を加速するためには質問し放題の環境でコードを書いた量が重要

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多くの人が、これからの時代にはプログラミングが必要だという理解がある。最初はみんな本や無料教材を使って自習します。しかし身につかず、挫折する。本や動画などで学習してもできるようになった気がしないという声を受講前の受講生からよく聞きます。これ単純に実践量が足りないんです。量をこなすほどわからない点が出てくるのでいわゆる外的モチベーション、手段として身につけたい人にはモチベーションが続きません。書くことが楽しくなって内的モチベーションに切り替わると違うのですけど最初からは無理です。

量をこなしてもらうために質問し放題で、詰まる時間がゼロにできる環境を僕らは提供しています。

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TECH::CAMPが集めているメンターはプログラミングを教えるプロフェッショナル

--TECH::CAMPにはメンター制度があると伺いましたがどんな体制になっているのでしょうか?

質問し放題の状態を作るために、メンターのコミュニティをつくり教育しています。メンターは、学生が8割、社会人が2割で計80人ほどいます。このメンターはTECH::CAMP卒業生の方が多いです。

 

自分からは口癖のように「リッツカールトンのホスピタリティを超えよう」という話をしています。適性がある人は、人を喜ばせることに自分の人生の生きがいを感じている人です。教育の本質はモチベーションです。 受講生の方たちのモチベーションを上げることを一番大切にしています。

 

行動規範も厳格です。ただ教えるのではなく「わからないところを探る」「モチベーションがあがるように褒める」「プラスαの知識をプレゼントする」などの行動規範があります。シフト前には行動規範を読み上げて良かった事例など意見交換をしてからスタートしています。もちろん技術力がないと話にならないので、週次で技術テストも行ったり開発タスクをこなしてもらっています。メンターの質の高さには驚いていただくことも多いです。TECH::CAMPのメンターたちは起業したり、一部上場企業や急成長ベンチャーに次々と内定をもらっているので非常に良質な文化をもったコミュニティになっていると自負しています。

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プログラミング経験半年であっても第一線で活躍するエンジニアを輩出したい

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-- 最後に、真子さんはTECH::CAMPを通じてどんな世界観を目指していますか?

プログラミング経験半年で、十分に活躍できるエンジニアを輩出したいと思っています。

TECH::CAMPはこれまで1年、1カ月コースをメインに提供してきましたが、現在のコースだと職業としてエンジニアになる人は多くありません。これにはプログラミングを教える我々の問題とエンジニアを受け入れる企業側の先入観があります。

教える我々の問題は、単純に未経験から1ヶ月では職業エンジニアになるための実践量がたりないことです。TECH::CAMPの環境でも最低500時間のプログラミング学習がなければ、実務レベルに至らない。実務レベルとは人月50万円以上で業務委託をうけられるレベルを指しています。500時間やるとなると2~3ヶ月は必要です。そこまで徹底的にサポートしきるコースはこれまでありませんでした。

企業側の先入観は経験年数1年未満のエンジニアは使えないというものです。エンジニア求人を出す際はどこの企業も、エンジニア歴2年以上ある人のみというような書き方をしています。。私自身業務委託で他社のプロジェクトに入りコードを書いたことがあるのですが、経験年数が数年でも半年の人に劣ることなんてザラにあります。この人がお金もらっているのかと何度も愕然としました。先入観という言葉をつかいましたが一般的には未経験から半年程度では戦力にはなりません。そこの常識を打ち破りたいというのが私の考えです。実際、卒業生やメンターで1年も立たずに現場で活躍している方が多くいます。この先入観を壊すには本当に良い教育をするしかありません。

直近で、TECH::CAMPエキスパートコースというの始めました。1日10時間を三ヶ月間、ほぼ每日教室に来てプログラミングをするプログラムです。仕事・学校に通いながらを一切認めません。選抜制で3カ月間で企業で即戦力で活躍できるエンジニアを育てます。価格は3ヶ月で40万円にしていますが、独立か就職できなかったら全額返金します。我々も腹を決めています。

ハードなプログラムですが1年分の学習成果を3カ月で出す。名門大学に授業料として年間100万円超払うならば、このコースに40万円払って、その1年分の学習成果を3カ月で上げて働いていくほうが未来が明るい状態にしていきたい。今後、エンジニア不足が深刻化して行くなかでこのエキスパートコースを成功させることは大きな社会的意義があると信じています。

 

TECH::CAMPに関心がある人はこちら

TECH::CAMPとSkyland Venturesは提携しており、スタートアップ志向の学生・若手社会人向けの割引きプランがあります。 関心がある方は @kinoshitay へDMをお願いいたします。

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