ソラコムは短期間で大きなことをやろうとしてる。そのためにサッカーチームのような組織を作っている #IVS

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 Infinity Ventures Summit公式Facebookより

 

2016/5/26-27にて2日間宮崎にて開催された500人ほどのインターネット・モバイル業界の経営者が集まる招待制スタートアップイベントInfinity Venture Summit(以下IVS)に参加しました。幾つか印象に残ったことをTwitterやブログで書いていきたいと思っています。この記事ではソラコム玉川さんとした立ち話について。

 

同時多発的な世界展開を行なうIoT向け通信プラットフォームスタートアップソラコム

ソラコムは、つい先日シリーズBの資金調達を発表したIoT向けのMVNOサービスSORACOM Airを展開するスタートアップ。ビジネス領域によって必要資金が異なると言うのはあるが、創業1年ほどで累計30億円ほどの資金調達をしているスタートアップ。

 

ソラコムの同時多発的な世界展開に勝ち目はあるのか? 

ソラコムの直近の活動については下記の記事が詳しい。

jp.techcrunch.com

 

「日本市場で受け入れられたのには、振り返ってみると2つの要素があったと思います。1つはクラウドのエンジニアコミュニティーがあったこと。もう1つはMVNOのプログラムがオープンになっていたことです。NTTドコモのレイヤ2接続はググッて出て来るぐらいオープンになっています」(玉川CEO)

玉川CEOはソラコム起業前にはAWSのエバンジェリストとして、日本でクラウドコンピューティングの開発者コミュニティーを育ててきた立役者の1人だ。その玉川氏によれば、JAWS-UG(Japan AWSユーザーグループ)のようなコミュニティーが全国にあって活発に情報交換やネットワーキングをしている地域としてはアメリカや日本が先行していて、ヨーロッパはそこまで進んでいないという。

MVNO接続についてはヨーロッパが先行している。シェンゲン協定によって国境を超えたヒトやモノの行き来が活発なヨーロッパでは、国境を超えるモバイル接続サービスが必須だからだ。そうした環境に遅れてはいるものの、日本でも日本通信が風穴を開けたところからMVNO市場が形勢され、多くのプレイヤーを巻き込んで1つの市場を作るまでになっている。その一方でアメリカにはMVNO市場はない。

「クラウド」と「MVNO」、その両方が揃っていたのは日本市場だけだ。アメリカにはMVNOがなく、ヨーロッパではクラウドは弱かった。だから、SORACOM Airのようなサービスが日本市場からスタートしたのは、振り返ってみると必然性があったのではないか、と玉川氏は話す。

 

ソラコムCEOの玉川さんはAmazon Web Service(AWS)の2人目のメンバーとして従事しソラコムを起業。Twitterは玉川憲 (@KenTamagawa)。AWSが浸透しているのはプロダクトの素晴らしさもあるが、かつての玉川さんのようなエバンジェリストをしている人達が小さなイベントなどにも細かく足を運び、リレーション構築を行っている。こういう活動はなかなか出来る会社が少ないと思っている。

まさにそのような経験があったから、ソラコム起業後も資金調達やサービスの新しい発表、提携など目立つ動きも、イベントなどであった際のところでの小さな動きも、この両方を誰が見ても真剣に取り組んでいる玉川さんの姿を見てAWSはすごい良い組織だったのだろうと思います。

玉川さんは10個くらい下の自分に対してもイベントその他で目が会うとすぐ話しかけてくださる。こういうのもなかなか出来ないことだと思う。(B Dash Campでは話しかけて頂いたので、IVSでは僕から話しかけるようにしたつもりだ!)

 

ソラコムは短期間で大きなことをやろうとしてる。そのためにサッカーチームのような組織を作っている

 

立ち話でしたがお話する際に仰っていたのはこれだ。

 

 

 

すべてのスタートアップが短期間で大きなことをやろうとしている。だが短期間で本当にやろうとしているかがとても重要だと思わされる。

 

そしてサッカーチームのような組織と言うのはメンバーがたくさんいれば良いということではなく、チームは少数精鋭である必要がある。そして、重要なことはメンバーの平均より上の人に仲間になって貰う必要がある。なぜならば、平均より低いメンバーが入るとそのメンバーを助けてしまうことにチームはリソースを使ってしまうからだという。こんな話をされていた。

 

話の最後には新規事業であるLoRAWAN事業についても

最後に話が終わりそうなタイミングで、「このデバイス知っている?とても可能性のある新しいものがある」との話をされた。それは先日リリースされたLoRAWAN事業のハードチップを見せてくれて概要を教えて頂きました。LoRAWANは通信基地局のような双方向なを通信環境を簡単に用意出来るサービスという話だった。小さいチップにして広範囲なカバー範囲があるそうだ。

 

thebridge.jp

 

「LoRaWAN」で通信ネットワークを構築する場合、この試作イメージにあるゲートウェイとモジュールがあれば双方でデータ通信が可能になる。ソラコムのSIMはこのゲートウェイ側に入ることになる。玉川氏によれば近い将来、SORACOM Airと同様に「LoRaWAN」をウェブインターフェースで操作可能になるということだった。

驚くのはカバー範囲だ。このゲートウェイ5個あれば八王子全域をカバーできるのだという。

つまり、私がこいつをこの地図のように設置すれば、この範囲でモバイル通信(その裏はドコモネットワーク)を提供できる事業者になれるのだ。

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もちろん、キャリアと全く同じというわけにはいかない。そもそも通信速度は普段使ってるスマートフォンのものとは比べものにならないほど遅い。けれど、IoT関連デバイスであれば十分な記録を残すことができる。

 

ソラコム玉川さんはイーロン・マスクのように自身でCEOを務めながらグループ企業を出資によって創り事業のエコシステムをまるまる作ろうとしているかのように見える。今後も玉川さんをウォッチしたい。なかなかCEO自ら事業の新しいリリースを立ち話でアップデートしてくださる方も多くはない印象なので。玉川さんの話し方はとても刺激を受け、参考にしたいと思いました。