「創業から11年経った今でも、自分で営業からキャリア相談までワンストップで行なう」キープレイヤーズ高野秀敏氏の働き方

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 スタートアップの悩みの種の1つである、採用や組織作りといった「人」に関わる課題。そんな悩みと向き合うヘッドハンター株式会社キープレイヤーズ高野 秀敏氏。クラウドワークス、メドレー、SORABITO、Skyland Venturesなどへ個人投資家としても複数のスタートアップ・VCを支援してきた同氏に、仕事や考え方を伺いました。

 

頑張っている人を応援することが自分の仕事

 --  最初に自己紹介をお願いします。

 キープレイヤーズの高野と申します。主にスタートアップと言われるような会社様の採用(転職)のご支援をしています。

最初に入った会社がインテリジェンスという会社で、100人ぐらいの時に入社を決めて1000人ぐらいの時まで6年ほど働きました。人材紹介事業の立ち上げなどを経験して、最後は人事という経歴です。

もう少し前の話も簡単にすると、リクルートさんで学生の時インターンをしていました。リンクアンドモチベーションの小笹社長が当時リクルートにいらっしゃって、組織人事コンサルティング室みたいなことをやっていらっしゃって。そこでインターンをさせて頂いていて。ワークライフバランスという会社の小室淑恵さんとかが同じグループでした。

そんなところで結構HRとかに対する興味も深まりまして。当時一緒にインターンしてる方々に「伸びそうな会社、どこ受けているの」と言ったら多くの人が言っていたのがインテリジェンスとアンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)だったんです。

そこでインテリジェンスを実際に受けて、インテリジェンス創業期の代表だった宇野さんや、最近まで楽天の役員をされていた島田さんの影響も受けて入社しました。

 

--  そしてそこから独立されて今のお仕事をされていると。

 そうですね。キープレイヤーズを設立し、2005年から今の仕事をしています。自分が76年生まれだったため、76世代とかっていう言葉もあったりするんですが、そういった同世代のベンチャーの方を中心にお手伝いしたいなというところから始めまして、11年です。

いろいろなベンチャーを支援していたら、前から知っている人が独立したいとか、独立してスタートアップしたいと言っている友人が少しずつ増え始めました。

その結果として個人でエンジェル投資をするようになったりとか、上場を目指すスタートアップの社外取締役を依頼されるようになり、顧問になるようになったりとかっていう流れになったんです。

  

-- それは完全にもう会社としての事業ではなくて、高野さんご自身が個人として支援をされている感じですか。

 自分はがんばっている方を応援していきたいという思考が強いみたいで、会社とは別に個人でもそういう活動をやっています。

例えばクラウドワークス代表取締役吉田浩一郎さんは昔から付き合いがあったため、声をかけてもらって社外取締役をやらせて頂いていました。

自分から「やらせてください」というよりは、頼まれるぐらいの価値があるような人間でいたいなと思っていて。最近だとヘルスケア分野のメドレーという会社の社外取締役などもやらせて頂いています。

 

-- 医療系のサービスをやられているスタートアップですよね。

 はい。メドレーもクラウドワークスと全く同様に会社設立前からの知り合いで、設立のタイミングでお声がけ頂き、運営をサポートさせて頂いています。

今ではそのような関わり方の会社さんが増えてきている形です。

 

-- 現在支援しているスタートアップってどのぐらいあるんですか?

 実際どこからが支援しているというのかが難しいのですが、エンジェル投資家として関わっている会社に限っても何十社にもなってきています。会社のステージも本当に様々です。

少し変わったところではバングラデシュの会社を経営しています。これから様々なチャレンジをしようとしているんですが、現状は不動産開発をやっていて。実は国内だけでなく海外でも支援していたりします。

 

--  バングラデシュですか。なかなか珍しいですよね。

 これも同じような観点で、とても伸びているんですね。年間数%ずっと伸びています。

その前はモンゴルでやってたんですが、モンゴルだと難しいいくつかの理由を全部クリアしていて。外国人に寛容で、外国企業に対しての法的な規制が非常に緩やかなんです。

別にモンゴルを否定しているわけじゃないですけど、バングラデシュの良いパートナーの方が見つかって、是非バングラデシュでやろうと。その方が今一番いいと言っている事業が不動産だったので、今は不動産をやっているという感じです。

「この人いいな、この市場いいな」こういう順番で考えているんですね。まずこの人がいいかどうか。次は市場はあるのかどうか。その中でその人が勝てそうかどうか。こういう観点でいつも考えています。

 

ポイントは、その市場の中で勝てそうな人かどうか

-  応援する会社は、今おっしゃったように「人」をベースに決定されているんですか?

 そうですね。経営者の方は非常に重要だと思います。

細かい戦略は違うかもしれないけれど、外から見ると同じようなことをやってるように見える会社はどの市場でもあるわけで、その中で勝ち負けがついてくるのはやっぱり人の力によるところが多いのかなと思っています。

ただその辺りは直近で変わってきている部分もあって、最近はエンジェル投資家やVCの方も、いろいろ協調して投資されるようになっていますし、顧問みたいに入る方もいます。昔以上により総合的になっているように感じているんですよね。

だからこそ、社員はもちろん株主や社外の協力者も含めて「誰を巻き込めるのか」かが大切です。ベンチャー同士で被らなかったとしても、大手企業が参入してくる可能性はありますし、実際にそういうことがたくさん起こっているわけなので。

 

 

--  確かに勢いのあるスタートアップは協力者をたくさん巻き込んでいるイメージがあります。人を巻き込む時のポイントはありますか?

 「採用」の視点で言うと、これは採用する側もされる側もそうなんですけど、キャラ被りしないということですね。

強みが同じでキャラ被りする人がいたら、せっかくの強みをそんなに発揮できないので、特に幹部メンバーはそうですね。メンバーが凹凸の関係になっているのか、社長が凸なら自分は凹とか、同じタイプの人ばかりだと役割が偏ってしまうので、採用の際に既存のメンバーとのバランスも考えることが大切だと思います。

 

--  実際に支援するとなった時、具体的にどういう支援の仕方をされるんですか? 会社として支援する場合と、個人として支援する場合で違うかもしれませんが。

 基本的には何かご相談があったらお手伝いするという考え方です。採用についてであれば、「この人を採用するべきかどうなのか」ということはよく相談されます。

後は営業支援みたいな感じで、お客様を開拓する時に候補先の企業を自分が知っているケースが多いので、それをご紹介したりとか。

  

--  採用以外にそういうこともやられるんですね。

人の紹介というのはある種当たり前なことだと思っていて。アライアンスできるようなところとか、事業提携できるようなところとか、あとは資金調達に関してはVCの方を紹介する時もあります。

VCの方やエンジェルの方も相当知り合いになったので、紹介することが増えてきました。

  

今でも、自分で営業もキャリア相談もやる

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--  今のお話は割と個人投資家というか、高野さん個人でやられていることだと思うのですが、キープレイヤーズとしての高野さんの役割や業務はどんなものなんでしょうか?

 代表という役職になるんですが、自分でも営業したり発注したりしますし、キャリア相談もしています。一社員と同じでワンストップでサービス提供していますね。 

 

--  営業やキャリア相談とかもご自身でされているんですか。

普段からしています。今でこそ会社組織になって10名弱ぐらいで、やっていますがもともとは自分1人でやっていましたので。

でもやっぱり1人の時に比べて今の方が明らかに強いですね。

 

--  最初は1人でやられていて、チームを作られたと。

共同で創業してくれた方がいたんですけども、その方とは別の道を歩むことになって。その後1人でやっていた時期が割と長く、ここ2年くらいで組織になってきています。

粗利に対する共同分配率はおそらく日本でトップクラスに高い人材エージェントになっているので、そういう体制・風土の中で自分とできる人とやっていきたいなと思って、少しずつメンバーを増やしています。

  

-- 粗利に対する共同分配率というのはどういうことでしょうか?

例えば100万円稼いだ場合に社員に30万渡す会社と50万渡す会社と70万渡す会社とあるとしますよね。その中でうちは50万〜90万渡す会社なんですよ。

そこまで払うエージェントはなかなかないと思いますし、実際に数千万円渡している社員もいるんですけど、それぐらいできる人であれば全く問題ないと思ってやっています。

 

-- 当然プロフェッショナルな方だけが集まっているわけですよね。 

そうですね。一般的な人材会社の場合頑張ってもそこまでもらえない。うちはできる人に最大限報いていくというポリシーでやっています。それが多分良いところじゃないかなと、自分では思っています。

 

--  どういう思いからそのような体系でやっているんですか?他の一般的な会社とは少し違うということですよね。

会社は管理したりされたりした方が伸びるのかもしれませんが、自分自身は管理することもされることも好きではなくて、割と「自由にやりたい」と思うようなタイプだったんです。

だから出社時間とか帰る時間とかも決めずにやりたかったんですよね。別に朝何時に来ようが、極端な話仕事していれば来なくてもいいと思うんですよね。今の時代、電話もスマホもパソコンもあるので、あんまり関係ないのかなと。

もちろん出社して話し合いをする意味はあると思うんですけど、基本的には自由な時間に自由な場所で働いて、自由に結果を出せばいいと思っています。

それで高い売り上げを上げてくれた人は当然高い給料になるし、低い売り上げの人にはもちろん低い給料になりますけども、そのこと自体も強制しないで自分で決めればいいかなと思っていて。それが自分の理想だったため、追求している感じですね。

  

現場に立ち続けるのは、単純に好きだから 

--  今でもご自身で現場の最前線に立って、営業もキャリア相談もしていらっしゃるというお話だったじゃないですか。高野さんはすごい実績も残されていますし、個人投資家としても活動されている中で、10年以上も現場に立ち続けていらっしゃるのはどうしてですか?

 単純に「好きだから」ということに尽きるんじゃないかなと。

最初は転職相談に乗ったり、社長の経営の相談に乗っていたんですが、やっぱり経営の相談の中で人的な問題が大きいんですよ。そこから徐々に幅が広がっていき、調達の相談とかも乗れるようになったんですね。

続けているうちに、この仕事が好きで自分の性に合ってるんだと気付いたんです。それで、1人でできることには限界があるので仲間を増やして組織を作りました。

 

 -- 性に合っているとか、好きっていうのはどの辺りにそう感じられるんですか?

 ずっとやっていてもあんまり苦にならないです。

あと感謝されやすい仕事であることですよね。何か人の役に立つことをしたいというのは社会人になる前から思っていたことなので、それを実感しやすいのが合っていたのかもしれません。

 

-- 仕事をする上で大切にされている考え方はありますか?

 人様のお役に立つかどうかですね。誰の役にも立たないとやっぱり寂しいじゃないですか。だからその考え方はずっと重視していて。

たまに自分もお願いしたくなるし、お願いしないこともないんですけど「人にお願いするよりは、人からお願いされるような存在でありたい」というのはありますね。

  

-- お願いされる側になるために意識されていることはありますか?

 何か一日一善、二善やろうということです。自分では十善ぐらいやっているつもりなんですけど、それを積み重ねることが大切だと思っています。

人って、どうしても「教えて下さい」「なになにして下さい」となりがちだと思うんです。でもそうではなくて、自分から何か役に立つことをしているかどうか、を僕はとても重視していますね。

 

誰かの役にたつと思ったことを毎日やり続ける f:id:skylandvc:20160605043759j:plain

-- 今後のことについても伺いたいのですが、今後チャレンジしようと思っていることはありますか?現在は国内に留まらず海外でも活動されているというお話もありましたが。

 たまたまご縁もあって今みたいな人生になっているので、伸びしろのある人や会社を、特に国籍とかにこだわらず支援していきたいと思います。それは今までもやってきたことですし、その先に見えていることでもあるので。

自分自身が今までやってきたことを振り返っても、全くゼロから何かをやったということはあまりなくて、何かしらのご縁がきっかけとなって全て始まっているんです。

もちろんヘッドハンターという仕事の関係上、全然知らない人にも会いに行くことはあるので矛盾する部分はあるかもしれませんけど、人と人のつながりを大事にしながら、それをきっかけにどんどんチャレンジをしていきたいなと思います。

  

-- 確かに個人的にはヘッドハンターの方ってそういうイメージがありました。自分からどんどん新しい人を探していくというか。

確かにそうなんですけど、実際自分ぐらいやると国内だともう誰かの知り合いなんですよ。むしろ誰かの知り合いじゃないことが難しくなってきてるぐらいです。

特に日本でビジネス頑張って起業しようという方だったら、絶対誰かと知り合いということになっているんですよね。

  

-- それはすごいことですよね。その状態にどうやって行き着いたんですか?

 それは全く変わってなくて、結局役に立つかどうかということだと思います。役に立ちそうなことを一応やり続けたつもりで、その結果なのかなと。

 

-- 例えばどういうことをやられたんですか?

本当に簡単なことでいいと思うんです。例えば本を読んだらレビューをアマゾンに書く、ブログに書くみたいなこととか、講演会に行ったら感想書いてみるとか。お友達がサービスを出したらFacebookでシェアをするとか

やっていることは当たり前というか小さいことなんですけど、それを毎日やり続けるということが違いかもしれないですね。振り返ってみても、確かにほぼ毎日やっているんです。

それはどうしてかと言われると、結局何かしら相手の役に立つのではないかなと思ったのえやっている。それが本当に役に立っているかどうかはわからないですし、私のエゴかもしれないですけど。

ただ、それを続けてきた結果が今の自分だと思っていますし、今後も続けていきたいですね。

 

(後編に続く)