インテルやアップルのアーリーステージへ投資したシリコンバレー初のベンチャーキャピタリスト アーサー・ロック

シリコンバレー初のベンチャーキャピタリスト アーサー・ロック

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シリコンバレー初のベンチャーキャピタリストを知っているだろうか。その人物はアーサー・ロックと言い、初期のインテル・アップルへ投資を行ったことで有名である。彼の存在は世界にベンチャーキャピタリスト(VC)と言う仕事を定着させた。

アーサー・ロックは1926年に、菓子店経営者の息子としてアメリカで生まれ、1951年、ハーバードビジネススクールのMBAを修了すると、ニューヨークの投資銀行、ヘイドンストーンに就職。当時VCの存在はなく、あったのはファミリーオフィス(創業家)による投資の存在のみであった。

 

Intelの創業メンバーとなる「8人の裏切りもの」との出会い

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ノーベル物理学賞受賞者であり、1950年代にトランジスタの商業化を研究リードしていたウィリアム・ショックレーはショックレー研究所を創った。ショックレーは才能あふれる研究者だったが、気まぐれさを持った経営者であった。

その場に集まった8人の若手研究者達を「8人の裏切りもの」と呼び、彼らがフェアチャイルドセミコンダクターやインテルを創業し、シリコンバレーの中心的存在となった。フェアチャイルドセミコンダクターは、フェアチャイルド家により$1.5Mの資金を受けているが、アーサーロックがIBMの創業を支援した同社の筆頭株主であったフェアチャイルド家に話を持ちかけたことがキッカケとなっている。

 

世界最大のマイクロプロセッサー企業インテルへの投資資金は2日間で$5.5Mを集めた

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時を経て、フェアチャイルドセミコンダクターの研究者の中にいたのがボブ・ノイスやゴードン・ムーア、アンディ・グローブであり、彼らは半導体メモリの開発製造をする会社を設立したいとアーサー・ロックの元へやってきた。そのときに産まれた会社はインテルである。そして、アーサー・ロックは25人の投資家から$2.5Mを集め、そこに自分自身の$3Mを加えて、その新会社に投資した。この決断にかかった時間は2日間だった。1ページ半の記述しかないビジネスプラン(事業計画書)をもとにしての資金調達となった。アーサー・ロックは30年以上にわたってインテルの役員会に名を連ねることになる。これがただの投資ではなく、VCのハンズオンの始まりである。

 

マイク・マークラからの紹介でアップルへの投資へ

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How the Founders of Apple Got Rich » Mac History

 

スティーブ・ジョブズ、スティーブ・ウォズニアックに次いでアップルの3人目のメンバーとして知られるマイク・マークラはインテルのストックオプションを保有していたメンバーだった。そのマイク・マークラはインテルのストックオプションにより財をなし、インテル退社後アップルへ投資を行うと共にメンバーとなった。そして、アーサー・ロックをアップルに紹介することになる。当時、ジョブズ・ウォズニアックをアーサー・ロックは良い経営者とは思わなかったが、サンノゼで開かれたホームブリュー・コンピューター展示会 (Homebrew Computer Show)に参加する展示を見ると、良い製品が無かったがアップルの製品だけが人だかりが出来ていた。それを見て彼らは投資を実行することを決意した。

 

アーサー・ロックの投資対象は技術ではなく人

アーサー・ロックが人物のどこを見て判断するのかというと、「技術的に誠実であること (Technically Honest)」であり、「市場での技術を正確に把握し」、さらに、「自分が開発している技術を過大評価することなく、冷静に評価できる能力が必要である」と述べている。技術者が開発している製品にほれ込むことは大切だが、盲目になるのではなく、「問題点を冷静に掴み、それを解決していく能力が必要である」としている。


さらに、ロックは、「戦略は戦術に必ず負ける」を持論にしている。起業家にとっては、アイディアや事業戦略は必要であるが、最後に必要なことは、目の前にある問題を早く解決する戦術である。米国社会では、ビジネス・スクールで企業戦略を教え込まれるが、大企業と異なりベンチャー企業では、毎日生きるか死ぬかの境界線上にあり、これを切り抜けて成長するため、「今日の問題を如何に解決するかという即効性が重要である」としている。

 引用元:アーサー・ロック: シリコンバレーを築いた投資家 « Emerging Technology Review

 

 

参照

・アーサー・ロック シリコンバレーの礎を築いたベンチャーキャピタリスト

http://diamond.jp/articles/-/995

 

・アーサー・ロック: シリコンバレーを築いた投資家 « Emerging Technology Review

http://ventureclef.com/blog2/?p=94